高知学114 カントリーライフ3 土砂災害と津波

 安らかにカントリーライフを過ごすには、災害の起きない土地に住まなくてはなりません.もちろん災害は田舎に限らず都会でも起きます.しかしカントリーの土地は広いし、いざというとき助けに来てくれる人は少ないので、自助を前提で住まなくてはなりません.高知の代表的な災害は豪雨と南海地震に伴う土砂災害と津波です.

1. 土砂災害

 高知は急傾斜の山地が多い上、台風を始めとする豪雨が頻繁です.地質的に不安定な地帯もあります.

深層崩壊地

 高知県では土砂災害危険箇所マップが作成され、関係地区の住民に地図の冊子が配られていますが、ネットで閲覧できます.土石流危険地域、急傾斜地崩壊危険箇所などが地図上に示されています.自分の散歩コースの中でも、幅は25m程度と小さな箇所ですが六つあります.

 ここに示されている危険箇所でも、住宅地としてあるいは住宅が建売で販売されています.承知の上で入手するのなら良いのですが.

のどかでもリスク

 のどかな風景の中にも崩壊の危険は潜みます.緩い傾斜地や斜面の下につくられた棚田は地すべり地形です.

 土砂災害危険地図は防災科学技術研究所によっても全国的に作成され、J-SHIS Map として公開されています.こちらは県ほど細かい表示はなく、広く地域に網をかけているように見受けられます.

土石流危険箇所

 防災研地図が示す危険急傾斜地は写真の地域では少ないのですが、尾根付近に数箇所示されています.下からでは樹木が繁茂してわかりません.県の地図ではそこを起点とする土石流の可能性が示されています.

大豊町怒田、八畝

 四国の地層は東西に延びる帯状になっています.その中の御荷鉾(みかぶ)帯にもっとも多く地すべりが発生します.変成した粘土層が底に厚く存在して水を通しません.その上に表土が乗る、いわば傾けた洗面器に水を入れた状態になっています.大豊町の怒田(ぬた)、八畝(ようね)はその大規模な地すべり地域です.

 一方傾斜が緩く地下水位が高いため水田に適していて棚田が広がります.棚田は地すべりの指標なのです.余剰な地下水を減らして地すべりを防止するため、斜面に水路がつくられ(写真でもわかる)、集水のための大きな井戸を設けています.衛星によって地盤の位置変動を捉えるモニタリングポイントもあります.

 それぞれの土地の地質は産業技術総合研究所、地質調査総合センターの地質図Naviで知ることができます.

2. 津波

 駿河湾から四国にかけての沖合い100kmほどのところで、北に向かって移動するフィリピン海プレートが日本のプレートの下に潜り込んでいます.その地帯を南海トラフと称しています.

中央右が室戸岬方向

 潜り込みによる変形に耐えられなくなってほぼ100年ごとに跳ね上がり地震が発生します.この前の地震は1946年の昭和地震で、その100年後は2046年になりますが、昭和はマグニチュード8.0とその前の安政(1854年)、宝永(1707年)の8.4-8.6に比べて小さく、歪が残っているためそれより早く2038年頃との推定があります.

国道の津波浸水標識

 地震により津波が発生します.高知県防災マップには各地の到達時間と浸水予測が図示されています.海岸はおおむね10mから15mですが、直接外洋に面している場合は到達時間が20-30分と短いのです.

津波避難タワー

 海岸近くには津波避難タワーがつくられていますが、近いところにすぐ逃げられるよう周辺の高台あちこちに避難場所が設定され、現在地の海抜と避難方向を示す掲示が多数あります.

津波避難場所

 写真の場所は海抜12.5mで、ここまで逃げれば巻き込まれない見込みです.

 南海トラフ地震の津波による四国の死者は最大7万4千人の予測です.浸水地域を避けることが必要です.

(初版:2021年8月29日)        (改訂版:2022年4月3日)

2021年8月29日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一

高知学113 カントリーライフ 2 車と買物

1.車・生活の足

 生活を維持するには日々の買物が重要です.それには足が必要です.

 都会ではJR、私鉄、地下鉄が網のように張り巡らされ、どこにでも行けます.しかしカントリーにはこのような交通機関はありません.したがって車です.車があるとどこにでも行けますが、車がないとどこにも行けません.

 どの家庭にも免許保持者の数だけ車があります.夫婦が持っていれば2台、さらに子ども二人が取っていれば4台になります.カントリーでは駐車の心配は要りません. 

市内のスーパー

 適合する車はスーパーに行けばわかります.軽自動車です.高知は日本で一番軽の比重が高く50%以上とのことです.何より安いし税金も低いのです.道が狭いから適合もしています.なお家族が多いと1台はミニバンです. 

香我美町・山川

 基本的にカントリーに入ると道は一車線です.しかしどこかに広くなったところはあるので、すれ違いに困ることはありません.ダンプだと離合場所は限られますが、前もって見えていますからどちらかが広くなったところで待ちます.長い距離をバックすることはまずありません.

細川のトンネル

 とても狭いトンネルがありますがこれは例外的です.ただ古い集落には軽の巾しか道がありません.

2.買物

 買物は都会なら店は選り取り見取りで何の苦労もありません.しかしカントリーではどこで買物ができるか、見定めておく必要があります.

元はよろず屋

 昔は集落に一つよろず屋があって食料品や日用品を売っていました.右の家はよろず屋でしたが今は廃業.今も残っている地区もありますが絶滅危惧種です.隣は酒屋でしたが今は古民家カフェ.

小型スーパー

 地域によってはよろず屋が発展したような小型スーパーがあります.品数は少ないが鮮魚、肉類が買えます.なお日用品もあり香典の袋も置いています.

直販所

 国道の道の駅には直販所があり、農家から持ち込まれた新鮮な野菜が買えます.魚も売っています. 

地域のスーパー・芸西村

 国道沿いにはほとんど自治体ごとと言ってよいのですが、15-30kmほどの間隔で地域のスーパーがあります.週2回ここに行ける距離ならカントリーライフは普通に過ごせます.それよりも遠いと覚悟が必要ですが.

 「ポツンと一軒家」、ポツンの距離が問題なのです.

(2021年8月31日 初版)        (2022年4月3日 改訂版)

 

2021年8月26日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一

高知学112 カントリーライフ1 草とムシとの戦い

 高知に来て23年、カントリーライフを過ごしてきました.その生活の上で重要だと思うことを記します.

 1.草との戦い

水田と耕作放棄地

 カントリーは自然に恵まれています.しかしその「自然」は住民の苦労で保たれいます.

 自宅から海に向かって歩いてゆくと水田があって、その先には野原と森が広がります.緑豊かな風景に見えます.

 しかしこの野原、元は水田でした.仕事を変えたのか高齢化によるのかはわかりませんが、耕作が放棄されて今はススキの広がる荒地になっています.灌木も生えています.右の森は何の手入れも行われていません.茂り放題で、ツタやクズに覆われて枯死寸前の木もあります.

 本当の緑は相応の苦労によって始めて維持されるのです.

山の草原

自宅から道を登ると草原に出ます.ここも茂り放題です.少し前までは道があり、犬と共に眺めの良い丘や林を抜けて谷間に出られたのですが.

 ここでは土地争いがあったらしく「侵入者は刑事告訴する」などの看板が立ち、鉄条網を張ったりしていましたがどうなったでしょうか.

庭の畑

 そういうことで自宅に庭をつくるには、草との戦いの覚悟が必要です.庭は人工のもので、自然の姿ではありません.

2. ムシとの闘い

 草と共に自然に付きまとうのは虫です.カントリーではムシとの戦いが必要です.

谷への斜面

 自宅下には谷間に通じる斜面があり、昼なお暗く木々が茂っています.

 当然虫も育っています.この土地の所有者はわかりませんが、伐採してしまえば虫は減るでしょう.しかし裸になった傾斜地は豪雨で地すべりの危険があります.水を十分に含む(従って虫が育ちやすい)斜面が望ましいのです.

ハネアリ

 虫の中でもっとも用心しなくてはならないのはハネアリです.春の夜、灯りを目指し窓全面を覆うほど大挙してやってきます.これは一匹たりとも家に入れてはなりません.シロアリとなって家を食い荒らすのです.防虫剤を散布してやっつけましたが、翌朝跳ね飛ばされた一部が窓に残っていました.

防虫剤

 そのようなことで防虫剤が積み上がっています.

 ムカデはスコップで切断して森に投げればよい.スズメバチも来ますがこれは強力スプレーで退治.ゴキブリは家内が生ごみを土に埋めて処理するようになって絶滅しました.コウモリは軒先に巣をつくって目を光らせていました.ヘビは鳩の巣を求めて同じく軒まで上がってきましたが、散水ノズルから水を噴射したらドタッと下に落ちました.

 付近の森にはシカやイノシシもいて、斜面にイノシシが掘り返した跡がありましたが、最近は来ないようです.

(2021年2月28日 初版)         (2022年4月3日 改訂版)

2021年8月21日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一