高知学107 住まなくなった家

1.空き家

 国交省では「空き家」を次のように定義しています.「1年以上住んでいない、使われていない家」.別荘、賃貸住宅の空室など、ほかにその他が入ります.「その他」には転勤、入院で長期に不在、取壊し予定などが入りますが、実際にはこれが田舎の空き家の中心です.

 2018年の調査では全国の空き家率は13.6%.都道府県別では山梨が首位、以下和歌山、長野、徳島と続き、高知は第五位の18.9%、約5万戸す.

 県内では土佐清水市、室戸市、四万十町、宿毛市、香南市の順です.安芸市、香美市も高く、津波浸水の恐れのある海岸部、孤立した集落の多い山間部の人口減少が非常に大きいためと思われます.

2.住む人がいなくなった家

 散歩で1時間ほど付近を歩きます.自然にコースができていますが、どれを歩いても「住む人がいなくなった家」があります.

 上のような「空き家」ですが、空き家というとアパートの空き室を含んでいるように、一時的に空いている状態のようにも感じます.

 そこで「住む人がいなくなった家」とします.空き家なのですが、長くその状態が続いていて、周辺の様子などからもう住人は戻って来ないのではないか、という状況です.

3.家の状態

(この家は現在取り壊されています)

 「住む人がいない」次の光景です.

 雨戸が長く閉ざされたまま、草木が伸び放題、プロパンガスの配管はあるがボンベがない、通路が落葉で覆われ人が通った跡がない、など.

 4.日陰の家

 日が当たらない小さい家は住人が離れやすいように思います.

 しかし日陰とはいうものの、辺りの木々が伸び放題だからそういう印象を与えるので、切ってしまえば随分変わります.もっとも付近は別の地主で、勝手に切るわけには行かないのかもしれません.

 近くに何種類かの見事な桜に囲まれた家がありました.家の主は桜の研究者であったとも聞きます.ところが空き家になって桜が急速に勢いを失い枯れてしまいました.「あるじ無きとて咲くを忘れ」たのかもしれません.

5.ゴミ屋敷

(この家は住人が吊るしていた蚊取線香が落ちて焼失しました)

 空き家というとゴミ屋敷のイメージがありますが、実際にはそのような家は滅多にありません.住まない、と決めた時点で整理や掃除がされています.ゴミ屋敷はもともと整理や清掃をしたことがない、という住人によります.

6 .海岸の家

 海岸の家は厳しい状況にあります.津波の心配があるためです.

 左の舟があるところは児童公園で右は岸壁.若い漁師さんは高い国道近くに家を建てて住んでいます.漁の職場には車で通えばよいのです.

7.ラスト50m

 石垣を積んだ斜面に重なるように並ぶ家々.漁港の風情ですがこれは高齢者に厳しいのです.急な斜面の狭い道を助けなしに上がり降りすることは困難です.

 老人施設の送迎車が止まって車椅子を下ろします.その乗移りにも時間がかかります.その後に職員が押して上がります.ラスト50mが問題なのです.

 「住まなくなった家」、それぞれに理由がありますが、「住んでいる家」になれば、と思いながら歩いています.

(初版:2021年2月28日)         (改訂版:2022年4月6日)

2021年2月28日 | カテゴリー : 高知学 | 投稿者 : 河田 耕一